虎魚の日記

しがない魚 妖怪話と哲学が好き

イのチ

おいらは虎魚。

虎の魚と書いておこぜと読む。しがない魚だ。

 

おまいさん命とは何か、知っているのだろうか。

おいらにはさっぱりわからんので、書に聞いてみたが「イは息」、「チは勢」つまり「フーっ」と吐く息だ。命とは息のことだ。

死ぬことを息絶えるというのはそんなわけか。

 

命が息なら息が止まる時が死ぬ時だが、死ぬとはそんな明快なものではないようだ。まず生まれてきて生があり、その生が終わって死があるように思えるがそうではない。春のうちに夏が始まっているように生のうちに死は始まっている。

生きてるってことはだんだん死んでるんだ。

 

そんなこんなで命は息だなんて言うと頼りないし、生きてるうちから死にかけてるなんて思って生きてはいない。

せっかく生きるならちょっとでもよく生きようって考えるのが人だ。

おいらだって面白おかしく楽しく生きるのが一番だ。

 

そのためにはどうするのか、

「希望をもて、善良であれ」だ。

希望は未来を信じることだ。人は死を迎えるときでも、一文無しになっても、何の望みもない時でさえ希望を抱かなければいけない。

体の一部を失っても笑って生きる。災害ですべてを失っても立ち上がる。どんな小さな希望でも持って笑って立ち上がるしか道はない。

それが正しい道だ。希望をもてばもつほど道を誤ることも少なくなる。希望こそが人間を支えるから。

 

そして「善良であれ」だ。

善いことってのは何世紀もの間こつこつと時間をかけて磨かれた宝だ。

善良なんてのは退屈でつまらないものに思えるが、失ってみたらその価値がわかる。

新しいものや珍しいものは長続きしない、凡庸に思えるほど長く続く。

善良であり続けることは簡単ではない。良識を身に着けてそれを保つためならどんな苦労も厭うべきではないでしょう。

 

日々の暮らしってのは避けようのない差し迫った問題が次から次にやってくる、「命とは何か」なんてじっくり考えている暇はないし、待ってはくれない。

人が思うより人は何も知らないし世界はずっと大きいが、世界が大きくて未知であるほど、人は世界を信じられる。どんな資源が眠っているだろうか、どんな素晴らしいものが隠れているのだろうかと。

この世界を信頼して、希望を持って生きる。

それ以外は神にゆだねましょう。

 

 

虎魚

 

 

 

 

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